工場の労働環境向上へ

安全・公平・尊厳・敬意のための約束

 

Gap Inc. が販売する商品は、一点一点手作業で製造されています。ジーンズにボタンを縫い付ける工程、シャツの縫い目を強化する作業などにおいて、商品の多くは複数の人―特に女性の手を経て作られています。実際に、商品の製造工場では、100万人以上もの女性が働いています。私たちは日々、商品にクリエイティブなアイディアを注ぎ込み、一つひとつのディテールに時間をかけて取り組んでいます。しかし、実際に作ってくれる人がいなければ、私たちが思い描いたことが形になることはありません。

工場で働く女性が、Gap Inc. において重要な役割を果たしていることを考慮し、彼女たちに安全で公平な環境を提供し、尊厳を守り、敬意を込めた待遇がされるよう尽力し続けます。

多くの女性にとって、縫製工場で働くことは、自身や家族にとってより良い生活を送ることができる大きなチャンスです。けれども、現地のインフラや法の遵守が不足しているため、この業界は労働者の安全と人権を保護する上で様々な課題に直面しています。世界最大規模のアパレルリテーラーとして、Gap Inc. はこのような問題に取り組む責務があると認識しています。また、当社の衣料品製造に携わる人々の健やかな暮らしがあって初めて、私たちのビジネスも成長できると考えています。そして、私たちと同様にお客様も、商品が製造される環境やそこで働く人々の生活に関心を持ってくださると信じています。

このような繋がりが、変化を起こすための可能性を切り拓くのです。公平な待遇と安全な労働環境が得られると、工場従業員は最大限の能力を発揮し、Gap Inc. がより優れた商品、そしてより良いサービスをお客様に提供できるよう支えてくれます。そして、お客様から寄せられるGap Inc. に対する期待やフィードバックは、私たちがアパレル業界をさらなる改善に向け牽引できる、より安定した企業になるための助けになります。

1992年に、初めて取引先向けの行動指針である「ベンダー行動規範」を定めて以来、Gap Inc. はさまざまな取り組みを広げてきました。近年では当社で行ってきたアプローチの徹底的な再評価を行い、さらなる進歩に向けた土台を築きました。私たちは様々な改善を重ねるかたわら、商品製造に携わる人々がどんな思いを抱いているかについて理解を深め、彼女たちの声がしっかりとこちらに届くよう。革新的なアプローチを導入しています。

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工場と提携し商品を製造する人々からのフィードバックを集め、彼らが一層「繋がっている」「尊重されている」と実感できるような新しいアプローチを考えています。

 

人権を守ること。組織的な課題に取り組むこと。

 

Gap Inc. のあらゆる取り組みは、当社の人権に関するポリシーで細かく規定されているとおり、当社商品の製造に携わる人々の人権を尊重し、保護するというコミットメントを指針としています。このポリシーでは、事業の運営方法の指針となる原則が定められているほか、あらゆる形での児童労働や強制労働の禁止等、当社が対策に力を注いでいる根本的な問題が記されています。さらには、専門家で構成される当社のチームを各国に設置し続けることで、ベンダー行動規範が形骸化せず遵守され、私たちの行動を通じて本質的な進展がもたらされるよう導いています。  

当社のチームは、商品の製造工場の従業員と広く対話する場を設け、明らかになった問題を追求します。中でも時間をかけて取り組んでいるのは、認定外の下請業者の使用、工場内の火災や安全上の問題、結社の自由、過剰な時間外労働などの複雑な問題を解決することです。

これらの問題は組織的な課題にも関わるため、Gap Inc. 単独では解決できず、各国政府や非営利組織、労働組合、その他のブランドや小売業者と連携し、革新的な解決策を編み出す必要があると考えています。その典型的な例が、国際労働機関(ILO)が主導し、多様な関係者が連携して工場の監視に共同で取り組むベターワークプログラムです。Gap Inc. は、ILOと緊密に連携しており、同機関の諮問委員会に参加しているほか、バングラデシュなど新しい国々でベターワークプログラムの試験導入を行っています。

 

新たなアプローチを考えています。

 

課題の解決に向け進展は見られるものの、生産のペースが上がっていることや競争の激化、低コストに対する需要、変わらず好調なファストファッションなどの現状を受け、さらに取り組みの水準を高めていかなければならないと考えています。言い換えると、私たちが直面する課題は複雑化の一途をたどっているのです。

この数年間、Gap Inc. は業務の徹底的な見直しと、新しいアプローチの考案に投資してきました。例えば、社外のコンサルタントとともにサプライヤーの持続可能性プログラムの審査を行い、数多くの改善を行いました。工場の業務改善のためのリスク評価や戦略立案においては、各国個別のアプローチを策定しました。例えば、ベトナムでは、政府、ILO、開発機関や他の企業とともに信頼できるアパレル業界の構築に力を注いでいます。

中でも特に画期的なのは、安全かつ公平で合法的な労働環境の整備に重点を置き取り組んでいる優れた非営利組織:ヴェリテとのパートナーシップによるプログラムです。Gap Inc. とヴェリテは、労働者がどれほど自分の価値を実感し、熱心に仕事に取り組んでいるかを評価し向上させることで、労働環境を改善すべく従来のアプローチを拡大しています。この共同の取り組みの中心にあるのが、労働者の声を引き出し、耳を傾けるということです。「どのような待遇を受けているのか?」「自分たちの仕事に対して良く思っているのか、悪く思っているのか?」「何を改善したいと考えているのか? 」

労働者の視点を理解し彼らの立場から問題に対処することで、より働きやすい職場を作るための新たな可能性を見出しています。さらには、過去にGap Inc.で実施し成功した方法をサプライヤーにも学んでもらえるよう、当社独自の人材管理に関する成功事例を共有していきます。Gap Inc. は、当社商品の製造工場が運営する地域社会の中で良い雇用主として評価され、人材の定着率や生産性の向上といった業務上の利益につながるような支援を目指しています。

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他にも、「ILO(国際労働機関)ベターワークプログラム」の一環であり、労働者や管理者が連携して職場の問題を解決し、互いを尊重しながら協働するために必要なスキルの習得を目指す、「ワークプレイス・コーオぺレーション・プログラム」(職場における連携を促進するプログラム)を導入することで、労働者への権限委譲を進める施策も支援しています。2015年には、このように重要性の高いILOベターワークプログラムの拡大のため助成金を交付しました。また、このカリキュラムはGap Inc.の最新の能力開発プログラムの基礎として活用します。対話や関係の改善に力を注ぐことは、労働者や管理者が今後起こり得る労使紛争を防ぎ、問題をより効果的に解決し、労働者の発言力を高め、生産性と競争力の向上に役立つと私たちは信じています。

こうしたプログラムに加えて、社内でも改善を図りました。工場の労働条件に対して、持続的で広範囲にわたる変化を起こすには、サステナビリティチーム単独でなく、調達チームや各ブランドの主要メンバーとの連携が不可欠であると認識しているからです。これらのチームは、サステナビリティの共通目標を定めるなど、日々互いに協力し合う新たな方法を見出しています。また、サプライヤーのパフォーマンス評価には統合的なアプローチを採用し、大きな変化を生み出し長期的に密接な関係を育んでいける、より少数の優良なサプライヤーと協業しています。

サステナビリティの取り組みを事業活動に統合することはサプライヤーにも受け入れられており、複数のステークホルダーに利益をもたらすGap Inc. のP.A.C.E. プログラムの推進にも役立っています。Gap Inc. のP.A.C.E. プログラムは、2007年以来、6万5千人以上の女性に対し、仕事と生活の向上に結び付くスキル習得や自信を育む機会を提供してきました。2015年9月には、このプログラムを大きく拡大し、2020年末までに当社のサプライチェーン全体および世界中の地域社会で、100万人の女性に教育を提供するという目標を設定しました。 

労働条件の改善に取り組み始めて以来20年以上が経ちますが、私たちにはまだ学ぶべきことがあり、新たな課題にも直面しています。例えば、工場の格付け評価において最低基準である「赤」(工場において速やかな行動が必要とされる深刻な問題が一つまたは複数あることを示す)と判断された工場の数は、2011年から2012年の期間よりも2013年から2014年の期間のほうが多いことが報告されました。これを受け、私たちはさらに詳しい調査を行い、この傾向を覆すための取り組みを加速させました。2014年には初めて、格付けで「赤」と評価された工場の問題に対処するため。当社のサステナビリティチームと調達チームが共通目標を定め、達成に向け連携を始め、重大な問題の88%を解決した他、この分野でのパフォーマンスが低い工場におけるその他未解決問題の84%を解決しました。

さらに、新しいプログラムへの投資も継続し、工場のパフォーマンスをより正確に評価し、最も重大な問題に専念するべく、格付け方法も進化させました。Gap Inc. は、2020年末までにすべての戦略的サプライヤーの格付けを「緑」または「黄」にするという目標を掲げました。2015年に、Gap Inc. が抱えるブランドの衣料品調達コストに対して、これら戦略的サプライヤーが占めた割合は84%でした。

Gap Inc. が、この大切な取り組みに着手して以来、様々な形で世界は変わってきましたが、衣料品の製造にかける人道的な取り組みの価値は変わりません。デザインを実際の商品へと仕立てる人々は、Gap Inc. が企業としての力を最大限発揮するための非常に重要な役割を果たしています。それと同じように、Gap Inc.は彼らが持つ可能性を最大限に引き出せるチャンスを生み出すことを目指しています。私たちが直面する問題は複雑です。まだ成し遂げるべきことがあるのはわかっています。しかしそれ以上に、未来にプラスの変化を引き起こすさらに大きな可能性も見出しています。 

The Short Story

  • Gap Inc. は政府、非営利組織、労働組合やその他関係者とともに、組織的問題に対する革新的な解決策の考案に取り組んでいます。
  • Gap Inc. のサステナビリティチームと調達チームの間に築かれた協力体制により、大きな進歩がもたらされています。
  • Gap Inc. は、サプライヤーの84%に対し、2018年末までに工場の格付け評価において最低基準である「赤」(工場において速やかな行動が必要とされる深刻な問題が一つまたは複数あることを示す)と判断された工場の数をゼロにする、という目標を設定しました。